(1)「これからは自分の力で生きていく。」と言う___、兄は荷物をまとめて家を出て行った。
1 とたん
2 なり
3 たところ
4 ものを
答は:2番
【解説】
「~なり」
〔例文〕
「これからは自分の力で生きていく。」と言うなり、兄は荷物をまとめて家を出て行った。
〔構文〕
V辞書形+なり
〔意味〕
「~した直後に」
「~なり」は「AなりB」で「Aをした直後にBをした」という意味になります。
Bには予想外の行動が来ます。
また、「なり」には「~したまま」という意味もあります。この時は、「Vタ形+なり」です。
例文1)
彼は部屋の真ん中に座ったなり、全く動こうとしなかった。
1「とたん」は、「AとたんB」で「Aした瞬間にB」という意味になります。「とたん」の前は「V+タ形」です。
例文2)
店から出たとたん、急に雨が降り出した。
3「たところ」は、「Aたところだ」で「Aしたばかりだ」という意味になります。
例文3)
たった今、駅についたところです。
また、「AたところB」で「Aしたら、Bだった」という意味もあります。
例文4)
久しぶりに友人の家を訪ねてみたところ、あいにく留守だった。
4「ものを」は「AものをB」で「AのにB」という意味になります。
例文5)
すぐに病院に行けば治ったものを、ずっと我慢していたから結局1ヶ月も入院することになってしまった。
(2)彼女がいつも笑顔で支えてくれた___、私はつらい仕事も今まで続けることができた。
1 せいで
2 おかげ様で
3 くせに
4 おかげで
答は:4番
【解説】
「~おかげで」
〔例文〕
彼女がいつも笑顔で支えてくれたおかげで、私はつらい仕事も今まで続けることができた。
〔構文〕
V普通形/Nの/イadj/ナadj+おかげで
〔意味〕
「~だから/なので」
「~おかげで」は、「AおかげでB」で「Aが原因でBといういい結果になった」という意味です。
ですから、「おかげで」はいい時にしか使いません。悪い時には使いません。
1「せいで」は、「AせいでB」で「Aが原因でBという悪い結果になった」という意味です。
例文1)
彼が遅刻したせいで、メンバー全員が電車に乗り遅れてしまった。
2「おかげ様で」は、会話で使うあいさつ表現です。
例文2)
A:退院なさってから、お体の調子はいかがですか?
B:おかげ様で、ずいぶんよくなりました。
3「くせに」は「なのに」という意味で、相手を批判したり文句を言ったりするとき使います。
例文3)
全然働かないくせに、ご飯だけはたくさん食べる。
(3)昨日30キロ___荷物をいくつも運んだので、今日は体中が痛くて動けない。
1 たりとも
2 までする
3 からある
4 ぐらいに
答は:3番
【解説】
「~からある」
〔例文〕
昨日30キロからある荷物をいくつも運んだので、今日は体中が痛くて動けない。
〔構文〕
N+からある+N
〔意味〕
「~か、それ以上もある~」(数の多さを強調)
「~からある」は、「AからあるB」で「Aか、あるいはそれ以上あるB」という意味です。
数がとても多いことを強調する表現です。ですから、Aには、必ず数を表す言葉がきます。Bに来るのもNです。
なお、値段を言う時は、「からある」ではなく、「からする」をよく使います。
例文1)
彼女は今晩、一人5万円からするディナーパーティーに出席する。
1は「AたりともBない」で、「たったAもBない」という意味で、数の少なさを強調する表現です。
Aには数字を表す言葉がきますが、特に1がよくきます。
例文2)
あいつは全く信用できない男だから、1円たりともお金は貸したくない。
2、4はひっかけです。
(4)これ___、本会議を終了させていただきます。
1 を限りに
2 を言って
3 をもって
4 を皮切りに
答は:3番
【解説】
「~をもって」
〔例文〕
これをもって、本会議を終了させていただきます。
〔構文〕
N+をもって
〔意味〕
「~を最後にして/~で」
「~をもって」は、「Aをもって」で「Aを最後にして」という意味になります。何かを終わらせたい時に使う表現です。
Bには「とみなす」「とする」「とさせていただきます」といった表現がよく来ます。
公式のスピーチや公的文書でよく使われる表現です。丁寧に言う時は「~をもちまして」と言います。
また、「身をもって」は「(言葉ではなく)行動で」という意味の慣用句です。
例文1)
親として子供をどう教育するべきか、彼女は身をもって示した。
さらに、「~を持つ/使う」という意味もあります。
例文2)
君の実力をもってすれば、これぐらいの仕事は簡単だよ。
1「を限りに」は「Aを限りにB」で「Aを最後にしてB」という意味です。
Aには期日·期限を表す言葉がよく来ます。
例文3)
今日を限りにタバコはやめよう。
2はひっかけです。
4「を皮切りに」は「Aを皮切りにB」で「Aをきっかけに勢いよくBが始まった」という意味です。
例文4)
あの歌手はこの夏、東京を皮切りに全国38か所でコンサートを展開する。
(5)戦争で貧しい生活を強いられている子供の姿は、見る___ものだった。
1 にたえない
2 まじき
3 に足る
4 べき
答は:1番
【解説】
「~にたえない」
〔例文〕
戦争で貧しい生活を強いられている子供の姿は、見るにたえないものだった。
〔構文〕
V辞書形/N+にたえない
〔意味〕
「~することができない」
「にたえない」は「Aにたえない」で「(あまりにいつもと違う状況で)Aすることができない」という意味になります。
常識(じょうしき)を超(こ)えた状況で、心理的にとても受け入れられない/たえられないと言いたい時、使います。
いいときにも悪い時にも使うことができます。
また、Aには見たり聞いたりすることに関係する動詞がよく来ます。
さらに、関連した表現に「にたえる」というのがあります。意味は「Aにたえる」で「Aするだけの十分な価値がある」です。
例文1)
日本のマンガは、子供向けでも、大人の鑑賞に十分たえる作品が少なくない。
2「まじき」は「Aまじき」で「Aしてはいけない(こと?もの)」という意味になります。
例文2)
授業に全く出席しないなど、学生にあるまじき行為だ。
3「足る」は「Aに足る」で「Aの価値が十分にある」という意味になります。
例文3)
彼の料理は、多くの食通をうならせるに足るほどすばらしい。
4「べき」はひっかけで、2級以下の文法です。